課題図書③全員経営者マインドセット
背景
『成長マインドセット』、『「超」入門失敗の本質』に引き続き、3冊目の課題図書『全員経営者マインドセット』をアウトプットしていきます。
これから入社する会社は、社員の成長や組織力の向上に非常に力を入れていて、この本を課題図書として指定している理由がすごく良くわかりました。
また、私はエンジニアリングに加えて、そこで得たスキルを用いてビジネスサイドでも活躍していきたいと考えているので、組織運営や部下の育成などについて述べられている本書は非常に多くの学びがありました。
本書は入社前の課題図書としてだけでなく、自身の成長や組織の運営にあたって定期的に振り返る価値のある著書だと思いました。
概要
本書は、『成長マインドセット』と同じ著者が書いており、MSマトリクスという図を使って組織を成長させるための戦略について説明しています。
内容
MSマトリクス
MSマトリクスは、組織や人材を俯瞰し戦略を考えるための概略図です。縦軸にマインドセット、横軸にスキルをおき、社員をプロットします。
マインドセット・スキルは、以下の要素を複合的に勘案します。
マインドセット
①当事者意識
事業部や会社での課題を当事者として捉え、自分ができることを主体的に実行できているか
②覚悟
自分の仕事に対して覚悟をもって行動できているか
③オーナーシップ
自社を自分たちの会社として捉え、経営者目線で仕事ができているか
④全体最適
自分の都合やメリットではなく、会社のミッション・ビジョン・バリューに則り、長期的な視野で思考・行動できているか
⑤ミッションフィット
会社のミッションに深く共感し、自分の目指すものとして捉えて行動しているか
⑥バリュー体現
自分たちの会社の価値観をどれだけ体現し行動しているか、他者の模範となっているか
スキル
①テクニカルスキル
担当業務を遂行するのに必要な専門知識や技術的能力
②マネジメントスキル
会社の経営目標に対し、ヒト・モノ・カネを総合的に運用管理する能力
③コンセプチュアルスキル
俯瞰的・複眼的に課題を捉え、解決策を見つけ出す能力
④戦略思考力
限られたリソースの中で実現可能性や効果の高い施策を導き出す能力
本書の目指す組織は、マインドセットが100%以上のMSS、M100ゾーンに人が集まる組織です。そのためにA、B、C、Dの人材を育成していきます。
A:ミドルリーダー
マインドセットもスキルも高めのゾーンであり、レイヤーとしてはチームリーダーや部課長など部下を持つ人たちです。
B:マインドセットは高めだがスキル余地あり
スキルは物足りないが、当事者意識が高く、リーダーは安心して仕事を振ることができます。しかし、確認やレビューなどは必要です。
C:スキルは高いが要注意
自身の評価やスキルアップに関心が傾いており、全体最適よりも部分最適や個人最適を優先します。
D:新入社員
これからの育成によりBにもCにもなる人たちです。
個人の成長・育成
スキル習得に必要な要素は5つあります。
①才能・適性
②意識・工数
③理論・型
④場・経験
⑤継続・年数
①〜④は⑤を土台にして相乗効果を生みます。つまり、いくら才能があり意識が高くてもスキルを伸ばして成果を出すには時間がかかるということです。
個人キャリア形成のフレームワークに3つの円というものがあります。
この3つの円が重なるところがスイートスポットと呼ばれ、モチベーション高く取り組める仕事です。
will/wantに目が行きがちですが、shouldを積極的に取りに行き、canを増やすことでwill/wantが増えていきます。
リーダーのマインドセット
組織全体のマインドセットを高めるには、下位層を底上げするよりも、リーダー層のマインドが100%以上になることを目指すべきです。
理由は、下位層を上げても上位層は上がらないのに対し、上位層を上げるとそれに連動して下位層も引き上げられるからです。そして、リーダーのマインドセットが向上するために一番効果的な方法が、権限の委譲です。最初は多少不安でも、どんどん任せていくことによって視野が広がり、マインドセットやスキルが向上します。
リーダーの一番重要な役割は、「目標の必達」です。
そのためのスキルが組織マネジメントスキルであり、3つの要素からなります。
①リーダーシップ
目標に向けて組織を統率できる能力
チームメンバーの気持ちを汲み取り、チームがうまく機能するように周囲との調和を保てる能力
③戦略立案力
物事を構造的に捉え、全体の因果関係・影響関係を把握する俯瞰力を用いて実現可能性の高い効果的な施策を構築できる能力
これを支えるのが、業務遂行に必要なテクニカルスキルです。
PP人材
PP人材とは、Potential Playerの略で、スキルは物足りないがマインドセットが高く、100%になれる可能性のある人材を指します。
PP人材がリーダーの指示に対しブレーキを踏まず、「真面目・素直・一生懸命」に実行することで組織は強くなります。
PP人材の獲得には、認知・ブランディングが有効です。
・自社のミッション、ビジョンをどれだけ追求しているか
・自社がいかに成長性がある企業なのか
・社員一人ひとりの成長にどれだけ真剣に向き合っているか
をしっかり伝えていきます。
信念の輪
著者は、『7つの習慣』の影響の輪と関心の輪の間に「信念の輪」が存在すると言います。
会社の成長や自身のスキル向上など、すぐには結果が出ないが、強い信念を持ってやり続ける覚悟のエリアとしています。
まとめ
全員経営者マインドセットを読んで、特に実践しようと思ったことは以下の2つです。
・リーダーの右腕になること
・焦らず時間をかけてスキルを習得すること
開発はプロジェクト毎に数人のチームに入るので、リーダの指示に対してブレーキを踏まず、かつチームのオーナーシップをもってリーダーのやりやすいように動きます。
スキル面は、実務レベルでリーダーシップを発揮できるレベルになるには相当な工数を費やさなければならないと思うので、地道にコツコツと積み上げていきたいと思います。