エンジニア転職日記

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課題図書②「超」入門失敗の本質

背景

前回の成長マインドセットに引き続き、内定先の課題図書2冊目は、『「超」入門失敗の本質』です。この本はWWIIの日本軍の敗戦理由を考察した『失敗の本質』を元に、現代日本のビジネスがなぜ世界で戦えなくなったかを解説しています。
正直、最初こんな感じの写真が掲載されていて、「思想強いな、、、」と思いましたが実に本質的な戦略論、組織論の解説書でした。

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概要

この本の目指すところは、「現代日本の組織に遺された日本軍の遺産を批判的に継承または根絶する」ことです。
要するに、日本軍が負けた理由は物量や技術だけじゃなくて、組織のあり方にも悪いところあったよねっていう話です。

この本では、日本軍の敗戦理由を7つの要素から解説しています。

その中で特に印象に残った内容をまとめ、最後に考察を述べます。

原著の『失敗の本質』は東日本大震災の際にも引き合いに出されたそうで、今回のコロナ禍に於いても応用できるのではないかと思います。

内容

戦略性

本書では、日本軍の敗北理由は「戦略」にあるとしています。戦略とは、目標に繋がる勝利を選ぶことです。日本軍は当初太平洋の島々を多数占拠していたにもかかわらず、それよりも少ない拠点を制圧され、米軍に負けています。米軍は、戦争の勝利という目標に焦点を当て、絶対にとるべき島において勝利していきました。

現代のビジネスに置いても同じようなことが言えます。日本企業とインテルが競ってMPU(マイクロプロセッサ)を開発していた頃、日本企業は性能を追求していました。しかし、インテルは「活用しやすさ」を重視し、市場を独占します。このことから、戦略は、追いかける指標とも言えます。

変化に対応する思考法

変化に対応し、戦略的に戦うためには、創造的破壊を行うことが求められます。創造的破壊とは、既存のやり方を脱却し、全く新しい方法で凌駕することです。
そのためには、ヒト・組織の柔軟な活用、新しい技術の開発、それらの運用が必要です。米軍の人事は、最前線にて戦った兵士と中央の人材を一定期間ずつローテーションしていました。そのため、最前線で何が起きているのかを把握し、戦略に組み込むことができました。また、レーダーが開発された際も、科学者は軍人と対等にディスカッションし、専門分野は専門家に任せるやり方で開発を進めました。そうしてそれらを組み合わせ、適切に運用しました。

これまでのやり方に執着するのではなく、現場の情報を集めた上で、根本から疑って考えることで戦術ではなく戦略で戦うことができます。これこそが創造的破壊です。目標と問題自体が違うのではないかという視点から考えることをダブルループ学習と言い、ビジネスにおいても有効です。

イノベーション

イノベーションは、新たな指標を見つけ、戦略的に勝利することです。イノベーションを生み出す3つのステップは
①既存の指標の発見
②無力化
③新指標で戦う
です。
Appleの戦略に適用するならば、
①価格競争、性能
②デザイン、UI/UX、オープンソースアプリ開発
③プラットフォーム化し、価格競争はしない
となります。

対して日本企業は、体験学習的(偶然)にイノベーションを起こし、それを一点突破、全面展開します。するといつの間にか新しい指標が登場し、置いていかれることになります。
これまで流行っていたことに乗っかるのではなく、常に今何が評価されているのか、どうやったら乗り越えられるのかを思考する必要があります。

その他目を引いた考え方

型ではなく勝利の本質を継承する

やり方だけを踏襲するのではなく、その状況で何が起因して勝利したのかを分析し、本質を継承することに意味があります。

人事評価は組織に対するメッセージ

成果主義なのであれば、その組織に対し、トップは成果を出すことを優先して求めていると伝わります。逆に、減点方式や規範に忠実であることを重視する人事評価であれば、組織はそれを優先して行動するようになります。

優れたリーダーは「勝利の条件」に最大の注意を払う

イデアイノベーションは現場から生まれることが多く、リーダーはそれが勝利の条件として価値があるかを正しく見極める必要があります。

リスクは周知し管理するもの

硬直的な組織においては、リスクは隠され、何も対処せずにいます。しかしリスクは現場からトップに伝達され、しかるべき対処によって万が一の際にも対応できるようにコントロールしておくことが必要です。

まとめ

この書籍を課題図書とした理由は2つあると思います。
・戦略を意識して仕事をすること
・日本人の気質的に陥りやすい組織運営をしないこと
前職のスタイルが染み付いているところもあると思うので、フィードバックをもらって改善していきたいです。

コロナを失敗の本質から考察した記事もありました。

コロナ危機の日本に見る「前例主義」の病理、旧日本軍の失敗を繰り返すか | コロナ危機を救うクライシスマネジメントの本質 | ダイヤモンド・オンライン

この記事によれば、

コロナのような緊急時には日本の組織は前例主義を採用してなかなか新しい方法にシフトしない。もし新しいことをして失敗したら発言した人の責任になるからだ。

と考察してあります。確かに、政府や自治体の判断が他国の動向に合わせる形で行われ、迅速であったとは言えないと思います。

それならば、このことを教訓に、緊急時や予想外の展開となった時は抜け漏れなく上に報告し、判断する権限者はリスクケースを想定して迅速に判断を下す。そのような訓練を行うこと、またそれをある程度仕組み化しておくことが必要だと考えました。

 

出典

www.amazon.co.jp